- ギャラリーヤマキファインアート | 兵庫県
「感性の地平‐沖縄から開かれる視覚の扉」展
- 2025/12/4(Thu)〜1/31(Sat) 終了
ギャラリーヤマキファインアートでは、沖縄出身、あるいは沖縄に根ざした独自の視座をもつ画家たち—藤本英明、サトウユウ子、宮城クリフの絵画表現をご紹介いたします。
本展タイトルにある「感性の地平」とは、感覚や情緒を通して世界を感じ取り、理解する際に広がる感受の領域を指します。それは理性的な思考を超え、身体、記憶、心の深層と結びつきながら、私たちが世界と関わるための地平=境界であり、可能性の場です。
「沖縄」という土地は、光と風、海と土が織りなす自然の豊かさと、歴史的記憶の層が共存する場所です。その多層的な環境は、作家たちにとって単なる風景ではなく、感性を呼び覚ます生命的な場として作用します。
本展は、そうした土地のエネルギーが作家たちの内的世界と交差する瞬間を見つめ、
そこに立ち上がる新たな“感性の風景”を提示します。

サトウユウ子 Yuko Sato
福岡県生まれ。幼少期より母からピアノの手ほどきを受け、国立音楽大学在学中には早稲田大学モダンジャズ研究会に所属。その後、音楽的なリズムと即興性への感受性を背景に、武蔵野美術学園で美術を学び、1997年より沖縄に拠点を置く。
深い青と透きとおる白が響き合う、空間的な詩のような絵画を描く。白は余白ではなく、青と呼応しながら呼吸する場として機能する。
近年はオイルパステルによる小作品で、音楽的リズムと内なる生命の鼓動を描き出している。
藤本英明 Hideaki Fujimoto
兵庫県明石市生まれ。1990年明石工業高等専門学校を卒業、1993年千葉大学工学部デザイン工学科卒業。
その後、武蔵野美術学園にて美術を学び1997年沖縄より在住。
アクリルを塗り重ね、研削を繰り返す独自の技法で、時間の層と記憶の痕跡を描き出す。《Layers of Color》シリーズでは、具象を離れ、色と質感そのものを探求。光や風、水の気配といった自然の揺らぎをとらえ、絵画を「存在の呼吸」として立ち上げている。
この技法は、戦後のアンフォルメルやマチエール絵画の系譜と共鳴し、ジャン・デュビュッフェやアントニ・タピエス、近年のゲルハルト・リヒターの層表現にも近い試みとして位置づけられる。沖縄の光と風化の感覚が染み込んだ色面は、時間と素材が融合した独自の抽象空間を展開し独自の抽象表現として完成されています。
宮城クリフ Cliff Miyagi
沖縄生まれ。大学卒業後、デザインの仕事に携わり、29歳で現代アートを学ぶためにイギリスの芸術大学へ留学。ロンドンで7年間暮らしたのち、イギリス南西部ウェールズへ移り住み、伝統的製法で造られる「リアルエール」と呼ばれるビールに出会う。帰国後は東京のブルワリーで研修を重ね、故郷・沖縄にてビール製造工房「クリフビール」を設立。
その傍らで制作を続け、2025年には画業を本格的に再始動する。
ロンドン滞在時から一貫して「沖縄」を主題に制作を続けているが、固定化されたイメージを超え、日常の中に潜む風景を見つめる。観光や郷愁ではなく、土地と記憶が交錯する「現在の沖縄」を描くことで、場所の記憶と個の感覚が響き合う独自の視覚世界を築いている。
宮城クリフ
2009, 45.0 × 45.0 cm, パネルに油彩
藤本英明
2016, 97.5 × 145.6 × 3.5 cm, キャンバスにアクリル
サトウユウ子<#94Inner Life / MABUI>
2021, 12 × 10 cm, 紙にオイルパステル