- 東京工芸大学写大ギャラリー | 東京都
土門拳写真展「衣文の美〜 古寺巡礼より」〜写大ギャラリー・コレクション〜
- 2026/9/4(Fri)〜11/7(Sat) 開催前
〔写真展概要〕
本展では、写大ギャラリー所蔵の1200 点余りにおよぶ土門拳コレクションのなかから、『古寺巡礼』(全五集、美術出版社、1963〜1975 年)に収録された仏像写真の「衣文」に焦点を当てます。
衣文(英語でドレイパリー Drapery)とは、衣服の襞やしわの表現を意味する美術用語です。彫刻芸術におけるその役割は特に顕著であり、衣文が織りなす陰影のパターン・リズムこそが像の表情を大きく左右します。またそれは単なる衣の描写にとどまらず、制作された時代や地域ごとの様式・精神性を色濃く反映しているのです。
土門がレンズで捉えた名だたる仏像たちも、それぞれに異なった「衣文の美」をたたえています。直線性・左右対称性を備えた幾何学的衣文にはじまる飛鳥時代から、薄く密着した流麗な衣文を描く白鳳時代を経て、天平時代にはより自然主義的な衣文表現へと昇華されました。そして平安時代前期には翻波式・漣波式に代表される力強くリズミカルな衣文が現れ、後期には彫りが浅く穏やかで優美な平行衣文へと移行します。さらに鎌倉時代に入ると、写実性と躍動感に富んだ彫りの深い衣文表現へと至りました。くわえて鋳造による金銅仏、鑿で彫られた木彫仏など、素材・技法によってもその表情は千差万別です。
クローズアップに強くこだわった土門が、こうした衣文の微細な表情に大いに魅せられたことは想像にかたくありません。実際『古寺巡礼』には衣文にフォーカスした写真が数多く見られ、なかには何を撮影したのか分からないほどに肉薄し、ほとんど抽象美術と化したかのような作例さえも含まれています。
会場では、飛鳥時代から鎌倉時代までの仏像を捉えた写真群から、全身像と衣文のクローズアップを組み合わせた約60 点を展示し、仏像そのものが放つ厳かな佇まいと、細部に宿る造形美の双方を浮き彫りにします。全体を眺める視線と細部を凝視する眼差し――この2つのアプローチを往還することで、仏像の新しい魅力とともに、土門の眼が迫ろうとした「衣文の美」の真髄の一端に触れることができるでしょう。
企画構成 大森弦史
土門 拳(どもん けん, 1909―1990 年)
1909 年山形県酒田市生まれ。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。1933 年に営業写
真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指し、1935 年、ドイツから
帰国した名取洋之助が設立した日本工房に入社。戦後は絶対非演出の「リアリズム写真」を
カメラ雑誌などで提唱し、写真界に大きな影響を与えた。1958 年に写真集『ヒロシマ』(研
光社)を刊行、国内外で高い評価を得る。筑豊炭鉱地帯の窮状を取材した1960 年刊行の写真
集『筑豊のこどもたち』(パトリア書店)は10 万部を超えるベストセラーとなる。ライフワ
ークとなった「古寺巡礼」シリーズでは、仏像や寺院の撮影を約40 年にわたって続けるな
ど、一貫して日本を撮り続けた。

〔写真展概要〕
本展では、写大ギャラリー所蔵の1200 点余りにおよぶ土門拳コレクションのなかから、『古寺巡礼』(全五集、美術出版社、1963〜1975 年)に収録された仏像写真の「衣文」に焦点を当てます。
衣文(英語でドレイパリー Drapery)とは、衣服の襞やしわの表現を意味する美術用語です。彫刻芸術におけるその役割は特に顕著であり、衣文が織りなす陰影のパターン・リズムこそが像の表情を大きく左右します。またそれは単なる衣の描写にとどまらず、制作された時代や地域ごとの様式・精神性を色濃く反映しているのです。
土門がレンズで捉えた名だたる仏像たちも、それぞれに異なった「衣文の美」をたたえています。直線性・左右対称性を備えた幾何学的衣文にはじまる飛鳥時代から、薄く密着した流麗な衣文を描く白鳳時代を経て、天平時代にはより自然主義的な衣文表現へと昇華されました。そして平安時代前期には翻波式・漣波式に代表される力強くリズミカルな衣文が現れ、後期には彫りが浅く穏やかで優美な平行衣文へと移行します。さらに鎌倉時代に入ると、写実性と躍動感に富んだ彫りの深い衣文表現へと至りました。くわえて鋳造による金銅仏、鑿で彫られた木彫仏など、素材・技法によってもその表情は千差万別です。
クローズアップに強くこだわった土門が、こうした衣文の微細な表情に大いに魅せられたことは想像にかたくありません。実際『古寺巡礼』には衣文にフォーカスした写真が数多く見られ、なかには何を撮影したのか分からないほどに肉薄し、ほとんど抽象美術と化したかのような作例さえも含まれています。
会場では、飛鳥時代から鎌倉時代までの仏像を捉えた写真群から、全身像と衣文のクローズアップを組み合わせた約60 点を展示し、仏像そのものが放つ厳かな佇まいと、細部に宿る造形美の双方を浮き彫りにします。全体を眺める視線と細部を凝視する眼差し――この2つのアプローチを往還することで、仏像の新しい魅力とともに、土門の眼が迫ろうとした「衣文の美」の真髄の一端に触れることができるでしょう。
企画構成 大森弦史
土門 拳(どもん けん, 1909―1990 年)
1909 年山形県酒田市生まれ。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。1933 年に営業写
真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指し、1935 年、ドイツから
帰国した名取洋之助が設立した日本工房に入社。戦後は絶対非演出の「リアリズム写真」を
カメラ雑誌などで提唱し、写真界に大きな影響を与えた。1958 年に写真集『ヒロシマ』(研
光社)を刊行、国内外で高い評価を得る。筑豊炭鉱地帯の窮状を取材した1960 年刊行の写真
集『筑豊のこどもたち』(パトリア書店)は10 万部を超えるベストセラーとなる。ライフワ
ークとなった「古寺巡礼」シリーズでは、仏像や寺院の撮影を約40 年にわたって続けるな
ど、一貫して日本を撮り続けた。
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浄瑠璃寺金堂吉祥天立像施無畏印手詳細
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