- アイデムフォトギャラリー「シリウス」 | 東京都
海の駱駝の住処
- 2021/8/26(Thu)〜9/1(Wed) 終了
インド西部の小さな港町で撮影した「ダウ」をテーマにしたドキュメンタリー作品です。ダウとは、古来からアラビア海やインド洋沿岸部で使われてきた伝統的な木造帆船で、「千夜一夜物語」の登場人物 シンドバッドが乗る船として物語に登場します。
少年時代にテレビで観たダウや海の男たちの姿が、ずっと記憶に残っていました。それから30年越しに、ようやくこの目でダウを見ることができました。
インド グジャラート州にある港町ポールバンダル。アラビア海に突き出たカーティヤーワール半島の西辺に位置し、歴史的には「インド独立の父」マハトマ・ガンディーの生誕地として知られている。
昔日のポールバンダルは、数世紀にわたり海上交易の中継を担い、海を隔てたアラビア半島や東アフリカ沿岸地域からもたらされる富によって大いに賑わっていたという。やがて20世紀に入り、交易都市としての役割を終えたこの町は、アラビア海やインド洋で獲れた海産物が水揚げされる漁業基地へと様変わりして今日に至る。
町の中には、かつてここが交易で栄えていたことを物語る景観はほとんど残されていなかったが、旧市街を抜けた先にある港に足を踏み入れると、夥しい数の漁船が係留されていた。「海の駱駝」と呼ばれ、「千夜一夜物語」にも登場する伝統的な木造帆船「ダウ」の末裔たちである。
少年時代に視聴したテレビ番組で、大海原を疾駆するダウの優美な姿に憧れを抱いた。あれから30年を経た今日でも、ダウが漁をしながら隣国パキスタンを経てアラビア半島に至り、時には東アフリカ沿岸まで往時の交易とほぼ同じルートを行き来していることを知った私は、現代に生きる海の駱駝の姿をこの目で見ようとポールバンダルを訪れた。彼の地を母港とする漁師を始め、水揚げされた海産物の加工施設で働く人や、造船所でダウの建造や整備に携わる男たちといった、港に関わる多くの人々と出会ったことがきっかけとなり、「海の駱駝の住処」として今作品にまとめた。
(出展枚数 モノクロ46点)
※開館時間 10:00〜18:00(最終日15:00まで)
日曜休館・入場無料
<前田 宏人 略歴>
1975年 神奈川県 横浜市出身。2016年4月から2017年5月にかけて、アジア11ヶ国を周遊。旅の間、訪れた地で暮らす人々の姿を写真に収める。帰国後は東京都内のフォトスタジオに勤務し、2019年に独立。現在はフリーランスのフォトグラファーとして活動。
「ありふれた日常を逞しく生きる人々」をテーマに、アジアを中心に撮影を続けている。
【グループ展】
「CROSS OVER VOL.1 」 2017年 タイ・カンボジアにて巡回開催
「第5回世界旅写真展」 2020年 BEHIND the GALLERY 神楽坂
【個展】
「From Nepal」 2018年 POINT WEATHER
「印度更紗」 2020年 BEHIND the GALLERY 神楽坂
【URL】
https://hirotomaeda.myportfolio.com
https://instagram.com/hirotm0211