
ー今回の展示のテーマ「距離と日常」vol.2についてー
コロナが蔓延し始めた頃、離れて暮らす高齢の両親を案じ、健康チェックのために散歩の様子を写メするように頼んだところ、母が愛犬の写真を毎朝送ってくるようになって早3年が経つ。
初めは犬がどにいるのかもわからないような写真もあったが、「いいね」と返しているうちに、構図や背景にもこだわるようになり、ある日などは「私は芸術を目指している!」という母の強気のコメントと共に、岸辺のボートの前で胸を張っている小さな愛犬の写真が送られてきた。母だけでなく、その気弱な元保護犬もすっかりその気になってポーズを取っている様子に心和まされた。
当時、コロナ禍における実家や知人との間に感じた、それまでとは違う「距離と日常」を主題に、埼玉での個展に向けて準備していたのだが、緊急事態宣言で敢えなく取り止めになってしまった。
そしてポストコロナを迎えるこの時期を記念して、その時に描いた一枚(「コンチネンタルクリップと龍安寺」)を物置から引っ張り出して手直しをしたのを手始めに、「距離と日常」を再考し、インターネットの恩恵と、副産物の”諸々“に、思いを巡らせて制作した。
2023年5月7日 小木曽ウェイツ恭子
武蔵野美術大学大学院修了後 東京を中心に制作、発表活動中
展示風景1
展示風景2
展示風景3
作品例