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- SH GALLERY | 東京都
REMIXED BY
- 2024/1/13(Sat)〜2/3(Sat) 終了
この度、SH GALLERYでは MASATO YAMAGUCHI × FUKI COMMITTEE「REMIXED BY」を開催致します。
東京風紀委員会(以下風紀)に出会ったのは2022の初頭の頃だった。風紀は初期、ストリートを監視すべく現れた在波うゆが都内の電柱、看板に「ダメよ。ゼッタイ。」と記されたステッカーをサイトスペシフィックなアプローチでスラップする活動が彼らの世界観の起点となっていた。その後2022年の年末の初の個展 “ACTIVITY REPORT“ にて初めて彼らの絵画作品を目にすることになった。ストリートの中に存在していた在波うゆが現実のギャラリーに現れたのは現代アートにARG(Alternate Reality Game 代替現実ゲーム [注 1])的な衝動を持ち込んだように記憶している。
その後自分が企画する ART FEAR ® TOKYO, ART FEAR ® SEOUL, 大阪芸術祭と彼らと自分の関わりは深くなり、今回のコラボレーション展へと自然に展開していった。
本タイトルである “REMIXED BY” はまさに自分と風紀の職能的な性格の一致と共通するカルチャーが生んだタイトルだと思う。彼らとの制作は驚くほどシームレスに進行していくのだ。我々はシチュエーションごとにそれぞれ立場を変え、ある時は自分がアーティストとして風紀にREMIXされ、ある時は自分がアーティストである風紀をREMIXする。あまりにもスムーズに制作が進む中で自分はある時、自分達にはREMIX カルチャーの土台があったことに気づいた。1990年代後期から2000年代に隆盛をしたREMIXブームではオリジナルよりリミキサーのほうが注目を浴び、自分はそのカルチャーに強い影響を受けていた。逆に風紀の警視庁のキャッチコピーのサンプリングする皮肉に満ちた世界観は2010年代にインターネットアンダーグラウンドで生まれた VAPOR WAVE [注 2] 的な、風刺と郷愁に満ちたREMIX性を感じる。
ある意味、今自分達が向かっている挑戦とは、2020年代における、新たなREMIXの変容を表現しているのかもしれない。メインビジュアルに起用した “UYU remixed by M.Y” では東京風紀委員会の委員長在波うゆに自分のアイコニックな表現である自撮りエフェクトを追加している。背景のカモフラはこちらで描き、風紀が在波うゆをハンドペイントで描く。最後のエフェクト部分を自分がエアブラシで追加する。ローファイとハイファイが交錯し、デジタルデータとコットンのキャンバスを駆使し、互いのエッセンスとタスクをパスしながら1mm以下のディティールを精巧に仕上げていっている。本展では、これらの作品群に加え、風紀の “Re:REAL” シリーズ3点、自分の ”SELFY”シリーズ3点 トレカペインティング1点の計12点の新作を発表する。コラボを記念したグッズも完成次第リリースしていく予定だ。
展示まで10日を切り、いままさに制作を進めている最中ではあるが、自分としても本展が2024の年明けに相応しいエキサイティングなショーになるとわくわくしている。ぜひ都内に来ることがあれば、原宿 SH GALLERY まで足を運び本展を楽しんでいただければ嬉しく思う。
[注 1] 代替現実ゲーム(だいたいげんじつゲーム、英: alternate reality game)は、日常世界をゲームの一部として取り込んで現実と仮想を交差させる体験型の遊びの総称である。
インターネット、テレビ、雑誌、ラジオ、ポスター、映画、FAXサービス、携帯電話、携帯ゲーム機など様々なプラットフォームの一部もしくは全てを通して提供される断片的な情報を、不特定多数のプレイヤーが協力して情報を主体的に集めながらゲームの進行へ影響を与えることで、1つの大きなストーリーが明らかになってゆくという特徴を持つ。例えば、フィクションであったルパン3世が現実世界にある渋谷のモヤイ象を盗む、など。
[注 2] VAPOR WAVE : ヴェイパーウェイヴ(またはベイパーウェーブ、蒸気波、英: Vaporwave)は、2010年代初頭にWeb上の音楽コミュニティから生まれた音楽のジャンルである。過去に大量生産されて忘れ去られた人工物や技術への郷愁、消費資本主義や大衆文化、1980年代のヤッピー文化、ニューエイジへの批評や風刺として特徴づけられる。基本的にパソコンとDAWを用いて、素材の加工と切り貼りだけで制作される。
2024年1月3日
文:山口真人
皆様のご来廊を心よりお待ちしております。
・山口真人
90年代東京の音楽・ファッション・デザインの影響を受けアーティストとして活動をする。「トランスリアリティ(現実の向こう側の現実)」をテーマに、 SELFY(自撮り)をする女性をクールキュートに描き現実とは何かを問い続けている。アパレルブランドX-girl や ReZARDとのコラボレーションを行 うなどボーダレスな活動をしている。
世界中の人がインターネット上でつながり、絶え間なくSNSと接続する現代において、リアルとバーチャルの境界はますます曖昧になり、ときに目の前にあるものよりディスプレイに映るもののほうがリアリティを持つことを山口の感覚は実に繊細に捉えている。LINEのメッセージで泣いてしまうこと、加工したセルフィーへの自己愛、バーチャルアイドルへの本気の恋、それらは日常にありふれていてもはや虚構とはいいがたい。山口はそうした時代性を背景として「トランスリアリティ(現実の向こう側の現実)」をテーマに作品をつくることで、現実とは何かを問い続けている。
・FUKI COMMITTEE / 東京⾵紀委員会
在波うゆが⽴ち上げた組織。
FUKI COMMITTEEは数年前、ステッカーという形で東京の街に出現した(犯罪について通⾏⼈に呼びか ける、決意に満ちた率直な少⼥のまなざし、指差す制服姿の⼥の⼦、キャプション:「 ダメよ。ゼッタ イ。」。
FUKI COMMITTEEの絵は、そのかわいらしい外⾒の裏に、⽇本社会についての疑問を投げかけている。⽇本社会は、時代 遅れで不適切な形式的ガイドラインの数々によって⽀配されており、それによって誰もが誤った道徳観や 安⼼感を抱いている。
山口真人
FUKI COMMITTEE / 東京⾵紀委員会