- ぎゃらりー由芽のつづき | 東京都
中村 昇・辻 政博 二人展
- 2024/10/16(Wed)〜10/20(Sun) 開催前
中村 昇と辻 政博は、大学の同期である。というと同窓会的、情緒的な雰囲気を醸し出してしまうが、むしろ、この二者の関係が、卒業後も長らく続いたのは、単に友人としての親しさというよりも「制作」「表現」といったものを仲立ちしてのことである。思うに、若い頃に共有された経験は、その後の活動のベースとなっているのではないだろうか。それは、長い人生の過程の中で、個々の社会的な関係性が変転を遂げていく中で、自己のあり方を観測する基準のひとつとなっている。互いの存在や仕事は、自分を映し出す鏡である。久しぶりの展覧会が、現在の自分の姿や時代を映し出してくれることを期待して、企画した。
◆ゆるりトークショウ 10月19日(土)14時〜16時
話題:「美術de表す・学ぶ・生きる」
ゲスト
穴澤秀隆(國學院栃木短期大学、絵本学会会長代理、詩人)
高橋香苗(美術家、東京都図画工作研究会元会長)
山廣茂夫(Auther、美術家)
進行 辻 政博
大学時代は、共に抽象コースを選択した。担当教官は、稲葉治夫(1931〜2010)、成田克彦(1944〜1992)、木村一生(1932~2015)、榎倉康二(1942〜1995)。当時は、絵画の抽象化や、さらに、モノ派、ミニマルアートなどの、素材そのものを表現の基点にした還元主義的な流れが先端であった。中村は、キュビスムの平面化をさらに推し進めた抽象的な絵画を制作していた。辻は、黒鉛などの素材を使って、身体性の強い還元的な表現を志向していた。近年、二人とも、平面(絵画)の枠組みの中で制作を進めている。中村は、モノの表面に着目し、表層・中間層・深層の視覚的な絵画の構造を顕在化するような表現を志向している。辻も、絵画が層を成し、成立していく構造に着目しつつ、行為を通して現れる意味生成に関心を寄せ制作している。共に、強いメッセージの伝達を目的にした表現ではなく、また、キャラ立ちをさせながら物語化を図り、見る者を引き込むような手法でもない、むしろ、立ち現れた表象以前の、絵という「乗り物」について、媒体としての構造から、制作を通して思考し、新たなモノの見方や感性のあり方を探っていこうとする態度が共通していると考えられる。
辻政博製作中
中村昇作品
中村昇作品
辻政博作品