
- Kura Monzen Gallery | 京都府
Hattori Shunsho “Geometry”
- 2025/4/26(Sat)〜6/2(Mon) 終了
大徳寺のほど近くにあるアートギャラリー「Kura Monzen Gallery」では、京都にゆかりのある漆芸術家・服部峻昇を特集した新たなコレクション展を開催いたします。
服部峻昇の芸術的遺産は、日本の伝統的な漆芸技法の卓越性はもとより、“幾何学(Geometory)”を表現と変容の手段として深く探求した点にあります。彼の作品は、形態・線・素材の独創的な使い方を通して、何世紀にもわたる工芸の伝統と現代のデザイン言語との間に、魅力的な対話を生み出しています。
作品における幾何学は、単なる視覚的構造にとどまらず、哲学的探究への導きとなっています。月と太陽、季節の移ろい、水面に反射する光の相互作用など、自然の周期的なリズムと、近代性がもたらす構造的な抽象性を融合させ、数学的な明晰さと詩的なニュアンスを兼ね備えたデザインロジックで表現しています。
京都の漆芸伝統に根ざした優雅さと、現代美術の可能性を広げる革新性。その双方を体現する服部峻昇の作品を、ぜひ会場でご覧ください。皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
服部 峻昇 漆歴
1943 京都に生まれる
1958 京都市立 日吉ヶ丘高等学校(現・京都市立銅駝美術工芸高等学校) 美術工芸課程 漆芸科
入学
同校にて漆芸家の水内杏平、平石晃祥から指導を受ける
1962 第14回京展 漆パネル「おんな」初入選、以後毎年出品
1963 第5回新日展 漆パネル「夜の演奏者」初入選 / 特選2回受賞 審査員5回
1964 第17回京都工芸美術展 初出品、以後毎年出品
現代漆芸研究集団「朱玄会」会員になる / 漆芸家・番浦省吾に師事
1965 塗師・上原清氏に弟子入り、蒔絵を学ぶ
1969 第22回京都工芸美術展 「漆卓」出品、優賞受賞
1970 伊藤祐司、鈴木雅也らとともに漆芸家グループ「フォルメ」を創立(~78年解散)
1972 第4回日展 二曲屏風「陽の芯」特選受賞
1975 文化庁芸術家在外研修員として1年間欧米に留学
1979 創立第1回日本新工芸展 二曲屏風「パトラスの月」出品、審査員を務める
1981 第3回日本新工芸展 漆額「月の話」市長賞受賞
1982 京都市芸術新人賞受賞 / 第14回日展 飾棚「潮光空間」特選受賞
1983 明日を開く日本新工芸展 優秀賞受賞
1984 第6回日本新工芸展 耀貝飾箱「曄光」会員賞受賞
1987 第40回京都工芸美術展 耀貝飾箱「潮文」大賞受賞
1988 本名の「俊夫」から「峻昇」に改名
1989 第1回創工会展 以後毎年出品
1990 京展 耀貝飾箱「暁の海」京展賞受賞
1992 第4回倫雅美術奨励賞 受賞
1995 ローマ法王ヨハネ・パウロ二世に謁見して典書台を献上 / 第5回日工会展 文部大臣賞受賞
1997 京都府文化功労賞受賞
1998 紺綬褒章受章(’99)
1999 第12回京都美術文化賞受賞
2000 日蘭交流400周年記念日本現代漆芸展 招待出品(オランダ)
インターナショナル20世紀アートフェア― 招待出品(ニューヨーク)
2001 京都の工芸in エディンバラ展 招待出品
2005 京都迎賓館 主賓室 飾棚「波の燦」および調度品を制作
韓国済州市国際工芸ビエンナーレ 国際招待作家展出品
第37回日展 内閣総理大臣賞受賞
2006 京都市文化功労者 表彰
2012 第22回日工会展 文部科学大臣賞受賞
2018 肺炎のため、死去(享年75)