- 京都市京セラ美術館 | 京都府
続 お久しぶりどす、寛齋はん。 落款印のあれこれ
- 2024/3/1(Fri)〜3/3(Sun) 終了
【見どころ】
寛斎も他の画人と同様に落款から、作品の描かれたおおよその年代が推測できます。もちろん描いた年、六十干支、数え年などが記された作品も少なからずあります。これは徹山や一鳳とことなる点です。制作時の年齢がわかることによって、歳とともに寛斎の画風がどのように変化したかを追うことができ、また制作年がわからない作品でも、だいたいいつごろ描かれたかを推定することが可能になります。
また落款の印影もさまざまで、それらの印に加えて銀印「得宣」(朱文長方印)、遊印「倏忽造化」(白文長方印)、「瞑雲聽泉」(白文長方印)、関防印「適意」(朱文長方印)などが捺された作品もあります。これらの印がどのように使い分けられたのか、さらには使われたさいの作品の依頼人との関係などを想像するのも一興です。
寛斎の作品に「於天開畫図樓」、「於天開画圖樓」、「於造化室」と筆が加えられたものがあります。これは雪舟が画室「天開図画楼」で暮らしていたことになぞらえたのでしょうか。画のみならず、それと同時に落款にも目を向けると新しい発見があるものです。
リーフレット表紙の、題箋題字が寛斎の高弟で、彼もまた帝室技芸員の拝命を受けた山元春挙筆による「寛斎先生印譜」には、30の落款印が収められています。今回は、30すべての印影を展覧会リーフレットで供覧し、会場ではパネルで紹介したいと思います。
【開催概要】
名 称 続 お久しぶりどす、寛齋はん。 落款印のあれこれ
主 催 呑兵衛コレクション(個人)
会 期 令和6年3月1日(金)〜3月3日(日)
開催時間 午前10時〜午後6時
3月1日は午後1時より 3月3日は午後4時まで
会 場 京都市京セラ美術館 1階 北回廊 東側
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
TEL 075-771-4334 FAX 075-761-0444
観 覧 料 無料
連 絡 先 boozer@ymail.ne.jp
【開催主旨】
森寛斎は文化11年(1814年)長州、現在の山口県に生まれ、幕末維新の時代に主に京都で活躍した京都画壇を代表する画人のひとりです。
天保9年(1838年)に森徹山の門に入り、その後徹山の養子として森姓を名乗り寛斎と号し、当時不振であった円山派の復興を図るため京都に画塾を開きました。
幕末紛乱の時代には、画業に精進するのみならず挺身国事に奔走し、勤皇運動に貢献しました。その後は画道に専念し、その卓抜した腕前により明治23年(1890年)に帝室技芸員に任命され、宮中のみならず元勲や財閥にも重用されました。
昨年7月には奈良市美術館で「お久しぶりどす寛齋はん。森寛斎と先達たち」を開催しました。そこでは個人で蒐めた森寛斎の作品を中心に、寛斎の萩での画の師であった大田龍から森一鳳まで、森派の作品を含め幅広く紹介しました。
今年は寛斎の生誕210年、没後130年にあたります。そこで今回は寛斎の作品に限定し、落款印にも注目しながら50点ほどの作品を出陳します。おおよそ半数の作品は、昨年奈良市美術館にて展覧したものと重複します。
【見どころ】
寛斎も他の画人と同様に落款から、作品の描かれたおおよその年代が推測できます。もちろん描いた年、六十干支、数え年などが記された作品も少なからずあります。これは徹山や一鳳とことなる点です。制作時の年齢がわかることによって、歳とともに寛斎の画風がどのように変化したかを追うことができ、また制作年がわからない作品でも、だいたいいつごろ描かれたかを推定することが可能になります。
また落款の印影もさまざまで、それらの印に加えて銀印「得宣」(朱文長方印)、遊印「倏忽造化」(白文長方印)、「瞑雲聽泉」(白文長方印)、関防印「適意」(朱文長方印)などが捺された作品もあります。これらの印がどのように使い分けられたのか、さらには使われたさいの作品の依頼人との関係などを想像するのも一興です。
寛斎の作品に「於天開畫図樓」、「於天開画圖樓」、「於造化室」と筆が加えられたものがあります。これは雪舟が画室「天開図画楼」で暮らしていたことになぞらえたのでしょうか。画のみならず、それと同時に落款にも目を向けると新しい発見があるものです。
リーフレット表紙の、題箋題字が寛斎の高弟で、彼もまた帝室技芸員の拝命を受けた山元春挙筆による「寛斎先生印譜」には、30の落款印が収められています。今回は、30すべての印影を展覧会リーフレットで供覧し、会場ではパネルで紹介したいと思います。
【主な作品紹介】
・三十六俳仙図 江戸〜明治時代
・恩賜京都博物館 森寛斎遺作図録 昭和19年(1944年)刊収載
・遺芳 大正15年(1926年)刊収載
・山口県立美術館 円山派と森寛斎 昭和57年(1982年)刊収載
・仙客煮茗図 江戸〜明治時代
・寛斎画譜巻四 明治43年(1910年)刊収載
・寛斎画譜 大正元年(1912年)刊収載
・遺芳 大正15年(1926年)刊収載
・恩賜京都博物館 森寛斎遺作図録 昭和19年(1944年)刊収載
・夏峡溯舟図 江戸〜明治時代
・寛斎画譜巻一 明治39年(1906年)刊収載
・遺芳 大正15年(1926年)刊収載
・京都府立総合資料館 森寛斎と山元春挙 昭和57年(1982年)刊収載
・幽屋閑居図 元治元年(1864年)
・寛斎画譜巻三 明治43年(1910年)刊収載
・寛斎画譜 大正元年(1912年)刊収載
・遺芳 大正15年(1926年)刊収載
・楊柳観音図 江戸〜明治時代
・遺芳 大正15年(1926年)刊収載
・恩賜京都博物館 森寛斎遺作図録 昭和19年(1944年)刊収載
・京舞妓図 江戸〜明治時代
・恩賜京都博物館 森寛斎遺作図録 昭和19年(1944年)刊収載
・一陽来復図 明治元年(1868年)
・恩賜京都博物館 森寛斎遺作図録 昭和19年(1944年)刊収載
・柳汀秋月図 江戸〜明治時代
・寛斎画譜巻三 明治43年(1910年)刊収載
・寛斎画譜 大正元年(1912年)刊収載
・梅渓幽居図 江戸〜明治時代 ・梅に小禽図 嘉永2年(1849年)
・涅槃図 江戸〜明治時代 ・長江山水図 嘉永4年(1851年)
・陶淵明図 江戸〜明治時代 ・看雲聴水図 安政元年(1854年)
・李白図 江戸〜明治時代 ・梅花長春図 安政3年(1856年)
・赤壁図 江戸〜明治時代 ・米山峠図 安政3年(1856年)
・芦水双鶴図 江戸〜明治時代 ・鯉上観音図 慶応元年(1865年)
・明恵上人図 江戸〜明治時代 ・雲龍図 慶応元年(1865年)
・西行法師図 江戸〜明治時代 ・瀧図(落款晩山) 慶応3年(1867年)
・秋山問奇図 江戸〜明治時代 ・福禄寿図 明治5年(1872年)
・雲雀菜種図 江戸〜明治時代 ・枯木若竹図 明治9年(1876年)
・菖蒲図 江戸〜明治時代 ・若菜に梅図 明治26年(1893年)
【珍しい落款印】
・「萩之國」 (朱文方印)
30代ころの作品「京舞妓図」に捺されています。
・「公粛」 (朱文長方印)
38歳のときの作品「長江山水図」に捺されています。
・「坐華酔月」 (白文長方印)
41歳のときの作品「看雲聴水図」に捺されています。
この印は、「桃蹊」の落款のある作品に見られる印です。
・「揮為桃渓□□」 (朱文長方印)
43歳のときの作品「梅花長春図」に捺されています。
「桃渓」は、寛斎のごく初期の作品に見られる落款「桃蹊」に何か関係があるのでしょうか。